ゲーム内容と特徴
『X-MEN VS. STREET FIGHTER』の核となるシステムは、2人1組のタッグチームバトルである。プレイヤーは試合開始前に2人のキャラクターを選択し、試合中はいつでもボタン一つで操作キャラクターを交代できる。控えのキャラクターは待機中にわずかながら体力が回復する。このシステムにより、試合のテンポは格段に速くなり、従来の格闘ゲームのように1キャラクターに集中するのではなく、2人のキャラクターの操作と連携を同時に求められることになった。
試合は一般的な3本勝負ではなく、1本勝負で行われる。制限時間が切れた場合は、両チームの残り体力の合計値を比較し、多い方が勝利となる。このルールはプレイヤーに積極的な攻撃を促し、たとえ現在操作中のキャラクターの体力が少なくても、もう1人のキャラクターの状態が良ければ逆転の可能性があるため、試合の行方はより予測不能なものとなった。
本作は、カプコンがこれまでに手がけた2作のマーベル格闘ゲームのシステムを継承しており、スーパージャンプ、空中コンボ、ハイパーコンボゲージなどを備えている。ハイパーコンボゲージは攻撃を当てたり受けたりすることで蓄積され、これを消費して強力なハイパーコンボ必殺技を繰り出せるほか、2人のキャラクターが同時に登場して超必殺技を放つ「ヴァリアブルコンビネーション」や、防御中にパートナーを呼び寄せて反撃する「ヴァリアブルカウンター」も使用可能。これらのシステムにより、戦略性と観賞性の高いバトルが展開される。
キャラクターは、X-MENとストリートファイターの両陣営から全17名が登場する。X-MEN側のキャラクターのドット絵は前作『X-MEN CHILDREN OF THE ATOM』から流用されているが、ローグ、ガンビット、セイバートゥースはカプコンの格闘ゲームに初登場となる。ストリートファイター側のキャラクターは『ストリートファイターZERO 2』からの流用だが、両者の戦力バランスを取るため、その特殊技は大幅に誇張されており、例えばリュウの超波動拳は画面全体を覆い尽くすほどの大きさになっている。
PlayStation版はハードの性能制約により、タッグチームバトルが廃止され、3本勝負制に変更された。パートナーは特定の攻撃中にのみ呼び出して援護させることができる。このバージョンには隠しコマンドが存在し、「擬似タッグチーム」モードを有効にできるが、その際は両者とも相手の使用キャラクターをパートナーとして選択する必要がある。さらに、PlayStation版のハイパーコンボゲージの溜まる速度はアーケード版の約半分に調整されており、コンボが決めやすくなっているが、全体的な体験はアーケード版とは明らかに異なるものとなっている。
作品背景
『X-MEN VS. STREET FIGHTER』は、カプコンが1994年の『X-MEN CHILDREN OF THE ATOM』、1995年の『マーヴル・スーパーヒーローズ』に続いてリリースした、マーベルキャラクターを使用した3作目の格闘ゲームである。また、マーヴルVS.カプコンシリーズの第1作目でもあり、タイトルが示す通り、2つのIPのクロスオーバーを明確に打ち出している。本作は1996年9月に日本でアーケード版が先行稼働し、その後世界中でリリースされ、瞬く間にアーケードゲームセンターの人気タイトルとなった。
アーケード版は、当時のカプコンの最新2Dアーケード基板であるCPシステムIIを採用しており、精細なドット絵と滑らかなアニメーションを実現していた。日本での成功は目覚ましく、1996年10月号の『ゲームマシン』誌では、『クイズなないろドリームス』や『ステークスウィナー2』などの同時期の作品を抑え、その月の最も成功したアーケードゲームに選ばれた。
家庭用移植版のリリースは紆余曲折を経た。1996年11月6日、カプコンは本作をセガサターン専用ソフトとして発売すると発表したが、その後撤回し、プレイステーションとセガサターンの両方で発売すると変更した。この決定は、当時の家庭用ゲーム機市場における激しい競争と、カプコンの2大プラットフォームに対する姿勢を反映したものだった。
セガサターン版は1997年11月27日に日本で発売され、サターン用4MB RAMカートリッジに対応した初めてのゲームとなった。カートリッジはゲームと同梱されていた。しかし、アメリカでは4MB RAMカートリッジが生産されておらず、小売店がサターン本体の在庫処分を計画していたため、サターン版は北米では正式発売されず、一部のエレクトロニクス・ブティック店が輸入版を販売したのみだった。欧州では、販売元のヴァージン・インタラクティブがカートリッジのコストを理由に発売を渋り、セガはカートリッジ同梱での発売を計画したが、最終的に頓挫した。
プレイステーション版は1998年2月26日に日本で『X-MEN VS. STREET FIGHTER EXエディション』として発売され、北米では1998年6月11日、欧州では1998年11月に発売された。プレイステーションのメモリ容量の制約により、このバージョンではスプライトのアニメーションフレームが削減され、タッグチームバトルも廃止されたため、評価は賛否両論となった。
制作背景
本作の開発は、カプコンがそれまでに培ってきたマーベル格闘ゲームのノウハウに基づいている。X-MEN側のキャラクターのドット絵は『X-MEN CHILDREN OF THE ATOM』から直接流用されたが、ローグ、ガンビット、セイバートゥースは新規に制作され、そのデザインは90年代のアニメシリーズを参考にし、オリジナルの声優による音声も使用された。この原作への忠実な再現は、X-MENファンに親しみやすさを与えた。
ストリートファイター側のキャラクターのドット絵は『ストリートファイターZERO 2』からの流用だが、X-MENのスーパーヒーローやヴィランと互角に渡り合えるよう、その特殊技はより派手にデザインされた。例えば、リュウの超波動拳は画面全体を覆い尽くすほどの大きさになり、この視覚的なインパクトはクロスオーバー対決の爽快感を強化し、2つのIPのバランスを取る上での開発チームの創意工夫を示している。
セガサターン版の開発は技術的なマイルストーンとなった。サターンでアーケードに限りなく近い表現を実現するため、カプコンは4MB RAMカートリッジを活用した。これはこのハードウェアが初めて使用された例である。カートリッジはゲームと同梱され、サターン版は完全なアニメーションフレームと高速なロードを実現し、多くのプレイヤーからアーケード移植の模範とみなされた。
プレイステーション版の開発はより多くの課題に直面した。メモリ不足のため、開発チームはスプライトのアニメーションフレームを削減し、タッグチームバトルを廃止して3本勝負制に変更せざるを得なかった。また、ハイパーコンボゲージの溜まる速度をアーケード版の約半分に調整し、ゲームバランスを取ろうとした。これらの妥協により、プレイステーション版は技術的にサターン版に劣るものとなったが、それでも当時のPSでは珍しい2D格闘ゲームの大作であった。
また、本作には隠しキャラクターとして豪鬼が登場し、『X-MEN CHILDREN OF THE ATOM』でのカメオ出演の伝統を引き継いだ。豪鬼の追加はプレイヤーにさらなる探索の楽しみを提供し、カプコンのキャラクターラインナップへのこだわりを示している。
評価と影響
『X-MEN VS. STREET FIGHTER』はアーケード市場で顕著な成功を収め、メディアからも好評を得た。『ネクストジェネレーション』誌はアーケード版に5つ星中3つ星を与え、タッグチームシステムを賞賛する一方で、このジャンルは飽和状態にあるとも指摘した。オールゲームの回顧レビューは5つ星中4つ星を与え、2つの人気シリーズの融合とタッグチームシステムを称賛した。本作はプレイヤーの間でも高い評価を受け、アーケードゲームセンターの人気対戦タイトルとなった。
セガサターン版は評論家から高い評価を得た。GameSpotのジェフ・ガーストマンは「どの家庭用ゲーム機でも最も美しい2D格闘ゲーム」と評し、アーケードへの忠実な再現度、アニメーションと音質、高速ロード、処理落ちのなさを賞賛した。サターン版はアーケード移植の基準とみなされ、北米で正式発売されなかったにもかかわらず、輸入ルートを通じて多くのプレイヤーの支持を集めた。
プレイステーション版は技術的な妥協により賛否両論で、GameRankingsのスコアは64%だった。批判は主にタッグチームバトルの廃止と頻繁な処理落ちに集中したが、それでもキャラクターのラインナップと基本的なゲームプレイにより一定の魅力はあった。このバージョンは、後の家庭用移植を語る上で反面教師として言及されることが多く、サターン版のハードウェアサポートの優位性を浮き彫りにした。
マーヴルVS.カプコンシリーズの記念すべき第一作として、本作はシリーズの核となるコンセプト、すなわち2人1組のチームバトルとクロスオーバーによるキャラクター対決を確立した。続編の『マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター』は1997年に発売され、「アシスト」システムを導入し、X-MENキャラクターの大半を他のマーベルキャラクターに置き換えることで、シリーズの可能性をさらに広げた。
長年にわたり、本作はカプコンとプレイヤーの記憶に残り続けている。2020年には、アーケード1アップ社が本作を家庭用アーケードキャビネットに収録することを発表し、『マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター』や『マーヴル VS. カプコン クラッシュ・オブ・スーパーヒーローズ』などと一緒に収録された。2024年には、カプコンが本作を『マーヴル VS. カプコン ファイティングコレクション アーケードクラシックス』に収録することを発表し、2024年9月にSwitch、PS4、Windows向けに発売された。これにより、新世代のプレイヤーもこのクラシック作品を体験できるようになった。







