ゲーム内容と特徴
『時間のパートナー』の最大の特徴は、大人と赤ん坊の2組のマリオ兄弟を同時に操作できることだ。冒険中はいつでも大人組と赤ん坊組を切り替えることができ、それぞれに異なる能力が備わっている。赤ん坊たちは体が小さいので狭い通路を通り抜けられ、特殊なアクションで高い場所に登ることもできる。一方、大人組は重い物を押したり、より強力な攻撃を使える。この2組の切り替えはパズルだけでなく、戦闘や探索にも関わっており、プレイヤーは常に2組の使い分けを考えながら進めることになる。
戦闘システムは前作のターン制を踏襲しつつ、新たな変化が加えられている。攻撃時にはタイミングよくボタンを押すことで追加ダメージや連続攻撃を発生させられ、防御時にも正確なタイミングでボタンを押すことでダメージを軽減できる。今作の最大の変更点は、前作の「ブラザーアタック」に代わって「ブラザーズアイテム」が導入されたことだ。これらのアイテムは兄弟2人で協力して使うもので、例えばカメの甲羅やハンマーなどがあり、単独の攻撃よりも強力な効果を発揮するが、アイテムを消費し、使用時にもタイミングが重要となる。
ゲームはDSの2画面機能を存分に活用している。上画面にはマップや周囲の環境が表示され、下画面は探索や戦闘の操作に使われる。戦闘中は下画面に敵やアクションメニューが表示され、プレイヤーはタッチペンでコマンドを選択し、時には画面をタップして特定のアクションを実行する必要がある。この設計は当時としては斬新だったが、一部の操作がやや煩雑だと感じるプレイヤーもいて、議論を呼んだ。それでも、ゲーム体験をDSのハードウェアと密接に結びつけたことは確かだ。
キャラクターの成長面では、従来のRPGのレベルアップシステムが採用されている。敵を倒して経験値を得て、レベルアップすると各ステータスが上昇し、新しい技を覚える。装備システムにはバッジと服があり、バッジは攻撃力アップや特定の耐性付与など様々なパッシブ効果を提供し、服は主に防御力と見た目に影響する。プレイヤーは自分の戦闘スタイルに合わせて自由に組み合わせることができ、戦略の幅が広がっている。
戦闘や探索に加えて、ゲームには2画面とタッチスクリーンを利用したミニゲームも多数用意されている。素早くタップしたりスライドしたりするミニチャレンジなどだ。これらの要素はメインストーリーに織り交ぜられ、ゲームのテンポを調整し、DSのハードウェア特性をアピールしている。ただし、こうしたタッチ操作に対する評価は評論家の間で分かれており、面白いと感じる人もいれば、流れを妨げると感じる人もいた。しかし全体的には、これらのデザインは本作が重視する「協力」と「タイミング」という2つのテーマに沿ったものとなっている。
作品背景
『マリオ&ルイージRPG2』はシリーズ第2作目で、前作は2003年にGBAで発売された『マリオ&ルイージRPG』(欧米版タイトルは『Mario & Luigi: Superstar Saga』)である。本作はストーリー上は前作の続編だが、舞台はマメーリア王国から従来のキノコ王国に移り、物語は比較的独立している。前作をプレイしていなくても問題なく楽しめるが、シリーズ経験者は前作を連想させるような小ネタを見つけることができるだろう。
本作は2005年のE3で初公開され、会場で試遊が提供された。当時、任天堂はゲームの2画面の使い方と赤ん坊キャラクターの設定を重点的にアピールし、プレイヤーやメディアの注目を集めた。試遊版では、大人と赤ん坊のチームで探索する楽しさや、新しい戦闘システムを体験できた。E3でのお披露目により、本作への期待は大きく高まった。
発売時期は、2005年11月28日に北米で先行発売され、日本では同年12月29日に発売された。欧州とオーストラリアでは2006年に順次発売された。この北米先行という発売順は当時の任天堂ゲームとしては珍しく、本作が欧米市場を重視していたことを示している。日本での初週販売本数は132,726本で、好調なスタートを切った。
本作は2015年にWii Uのバーチャルコンソールで再配信され、新規プレイヤーがWii Uでこの名作を楽しむ機会を得た。ただし、この再配信には新要素は一切追加されておらず、オリジナル版をそのままエミュレートしたものだった。DS本体を持っていないプレイヤーにとっては手軽に遊べる手段となったが、大きな話題にはならなかった。
本作の物語はキノコ王国が舞台だが、時間旅行の要素により、プレイヤーは過去と現在を行き来することになる。過去の世界は赤ん坊のマリオとルイージが守り、現代では大人の兄弟が危機に対処する。この二重の時間軸の設定は、ゲームプレイの基盤を提供するだけでなく、物語に深みを与え、プレイヤーが探索を進めるうちにシュルーブス侵略の真実を徐々に解き明かしていく構成となっている。
制作背景
本作はAlphaDreamが開発し、任天堂が発売した。制作チームの中心メンバーには、プロデューサーの宮本茂と水野哲夫、作曲家の下村陽子がおり、いずれも前作『マリオ&ルイージRPG』の開発に携わっていた。宮本茂はマリオシリーズの生みの親として、ゲームに方向性の指針を与えた。水野哲夫は具体的な制作を担当し、ゲームの品質を保証した。下村陽子の音楽は、ゲームに独特の雰囲気を添えている。
ゲーム開発の初期段階で、「時間旅行」と「赤ん坊キャラクター」という2つの核となるコンセプトが決定された。制作チームはDSの2画面とタッチ機能を活用し、前作とは異なるゲーム体験を生み出そうと考えた。赤ん坊のマリオとルイージの登場は、単に可愛いからというだけでなく、2組のキャラクターの協力が必要なパズルや戦闘をデザインするためであり、「協力」というテーマを強化する狙いがあった。
本作はDSの拡張ハードウェアである「振動カートリッジ」に対応している。プレイヤーが攻撃を受けたり爆発が起きたりすると、コントローラーが振動し、没入感を高めた。評論家はこの機能を歓迎し、ハードウェアの特性を巧みに活用していると評価した。ただし、振動カートリッジはGBAカートリッジスロットに挿入する必要があるため、すべてのプレイヤーが使用するわけではなく、この機能は中核的な体験にはならなかった。
E3での公開後、任天堂アメリカはゲームのストーリーやゲームプレイの詳細を順次発表した。タイムホールの仕組み、スタッフウェルというキャラクター、シュルーブスという敵などだ。これらのプロモーション資料は、ゲームのユニークな設定を徐々に明らかにし、プレイヤーの期待を具体的なものにしていった。スタッフウェルは、E・ガッド博士が作った喋るブリーフケースで、プレイヤーにアドバイスを与える。彼のユーモラスなセリフは、ゲームの大きな魅力の一つとなった。
ゲームに登場する敵「シュルーブス」は、キノコに似た生物で、名前は「キノコ」をもじったものであり、キノコ王国とは対照的な存在としてデザインされている。彼らは異星のテクノロジーと侵略性を備えており、マリオワールドの伝統的な敵キャラクターとは一線を画す。このデザインはゲームに新鮮さをもたらし、制作チームの敵キャラクターに対する創造性を示している。
評価と影響
『時間のパートナー』は発売後、評論家から概ね好評を得た。Metacriticのスコアは「好意的なレビュー」を示している。評論家はキャラクターの描写とユーモアあふれるライティングを賞賛し、シリーズの軽妙なスタイルを保ちつつ、より豊かなストーリーとキャラクターの掛け合いを加えたと評価した。IGNはエディターズ・チョイス賞を授与し、『オフィシャル任天堂マガジン』の「任天堂ゲームトップ100」では第50位にランクインした。プレイヤーとメディアの間での地位の高さがうかがえる。
本作は第9回インタラクティブ・アチーブメント・アワードで「年間携帯ゲーム機ゲーム」にノミネートされた。最終的には『nintendogs』に敗れたものの、ノミネートされたこと自体がその品質を証明している。売上に関しては、2020年時点で全世界で173万本を記録しており、マリオシリーズの大作には及ばないものの、RPGサブシリーズとしては十分な成績である。
本作はシリーズのその後の展開に重要な影響を与えた。赤ん坊のマリオとルイージがプレイアブルキャラクターとして初めて登場し、この設定は後の作品に受け継がれ、発展していった。戦闘システムにおいて、ブラザーアタックをブラザーズアイテムに置き換えた変更も、シリーズのその後の戦闘デザインに新たな方向性をもたらした。ただし、本作の時間旅行というテーマは後の作品では引き継がれず、シリーズの中でも特異な一章となっている。
本作のDSハードウェアの活用、特に2画面とタッチスクリーンの使用は、当時、ハードウェアの特性を示す重要なデモンストレーションと見なされた。タッチ操作の一部には議論があったものの、全体として、RPGがDS上で斬新なインタラクティブ体験を提供できることを証明した。この試みは、その後のDS向けRPGに参考事例を提供した。
シリーズの橋渡しとなる一作として、『時間のパートナー』はプレイヤーの心に深い印象を残した。前作のユーモアと戦闘のエッセンスを引き継ぎつつ、時間旅行と赤ん坊キャラクターによって新鮮さをもたらした。いくつかの欠点はあるものの、その創造性と完成度により、DS時代に記憶されるべきRPGの一つとなっており、続編『マリオ&ルイージRPG3』の登場への基盤を築いた。







